トイレで、勤務校の校長と並んで用を足していたとき、校長が私に相談したいことがあると言ってきた。校長は、恋愛ドラマを制作している生徒にアドバイスをしたいらしく、そのアドバイスが妥当かどうかを私に判断してもらいたいようであった。
校長は、「確定申告の書類を出すときに、男女がそれぞれの給与明細を半分に切って、半分になったそれぞれの給与明細を1枚ずつ書類に貼ることによって、税が軽減される」という方法で男女が愛を深める、という案を生徒に出そうとしているのだという。私は、校長が言っていることの意味がわからず、そのような税の軽減方法はないと答えたうえで、心の中で「この人はバカだ」と思った。
ちなみに、用を足している最中に、唐突に私の目の前に手を伸ばしてきた若者がいた。その若者は、トイレに忘れたハンカチを取りにきて、用を足していた私の目の前に入り込むような形でハンカチを手に取ったのである。私は、そのような行動をとった若者に対して、「ナイス! ナイスガッツ!」と褒め讃えた。私に続いて、校長も「ナイスガッツ!」と言った。
< 完 >
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