私は、教室の前のドアあたりでイスに座って、中学校時代の恩師であるA先生の数学の授業を受けていた。私は、しばらく授業を受けていなかったこともあって、内容についていくのが難しかった。また、私のすぐ近くでも、前回の授業に欠席していた生徒が、難解な内容を理解するのに苦しんでいた。
すると、A先生が唐突に特撮ソング「銀河の王者 ギンガイオー」の歌詞を口にし始めた。そして、A先生は「この歌、何やったかな?」と聞いてきた。私は、「たしか『破邪巨星ダンガイオー』でしたかね?」と誤った答えを返した。
私が誤った答えをしたのに、A先生は満足げな表情を浮かべた。しかも、周りの生徒たちは、即答した私のようすに感銘を受けたのか、みな目を輝かせた。私は、それなりに満足であった。
< 完 >
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