陶芸家のような雰囲気をした美術の専門家の先生の講義を、私を含めた大勢で受講していた。その先生は、お寺のようすを描いた大きな絵を我々に示しながら、「この絵を描いた画家が何に重点をおいて描いたか、わかるか?」と言い、ひとりの生徒を当てた。当てられた生徒は「鐘です」と答えた。先生が「どうして鐘だと思ったのか」と続けて聞くと、その生徒は「イスラム的な要素があるからです」と答えた。
先生は、その答えに納得したようすで、続いて別の生徒の名前を呼んだ。ところが、先生は、名前を呼んだ直後に「はい」と返事が聞こえなかったので、問答無用で別の生徒の名前を呼んだ。しかし、やはり先生は返事を待たず、1秒もたたないうちに、別の生徒の名を呼んだ。
その後、先生があまりにも間髪入れず連続的に名前を呼んでいくので、生徒らは名前を呼ばれても「はい」というタイミングがなかった。一連の流れの中で私も名前を呼ばれたが、「はい」と返事をする前に、別の生徒の名前が呼ばれた。
結局、先生は立て続けに20人ほどの名前を呼んだが、誰ひとり「はい」と返事ができないまま起床。
< 完 >
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