いい夢みてる?

夢日記を公開したり、仕事のことを書いたり、思いつくまま気のむくまま

雑記 ~ センター試験の監督をしたときの話 ~

 約20年前に、私は一度だけ、センター試験の監督をしたことがある。当時、私は大学でTA(ティーチング・アシスタント)の仕事をしていたのだが、「TAの人たちの中で、センター試験の監督のバイトをしたい人は申し出てください」と大学側から言われたのだ。せっかくなので、私はそのバイトをさせてもらうことにした。

 当日、私は非常に緊張していた。受験生の人生を左右するかもしれない局面に立ちあうわけだし、ミスは決して許されない。しかも、5人くらいで1つのチームになって大教室の監督をすることになったのだが、チームのメンバーは初対面の人ばかり。トラブルが起こったら連携して対応しなくてはならないのに、チームのメンバーの名前もわからないのだ。さらに、どう見ても、メンバーの中では私が最年少。こんな状態で、果たしてうまく任務を果たすことができるのだろうか・・・と、ずっとドキドキしていた。

 結局、終わってみれば、驚くほど何も起こらなかった。だから、人生で一度きりの貴重な経験だったはずなのに、ほとんど何も記憶に残っていない。そんな状態なのだが、今でもハッキリと記憶していることがひとつだけある。「監督のモチベーションの変化」である。

 1科目めの監督をしたとき、チームのメンバーは全員、真剣勝負で「監督」をしていた。試験が始まるとすぐ、全員が机間巡視をおこない、不正が起こらないように見て回った。「監督」よりも「監視」という語が適切だと思うくらい、メンバーは懸命に監督をしていた。

 ところが・・・実際に何かしらの試験監督をしたことがある方はおわかりだろうが、試験監督というのは本当に疲れる。「何もしないで無言で過ごす」というのは、本当に苦しいのだ。上記のように、1科目めの監督をしたときには、メンバー全員がかなりの気合いで監督し、ひたすら机間巡視をしていた。だが、夕方に実施された最後の科目のときには、監督のモチベーションは下がりに下がっていた。不謹慎にも少し笑いそうになってしまったのだが、試験開始の合図をした瞬間、私を除く全員がパイプ椅子に着席したのである。逆に、最年少の私だけが立っていて「浮いた」感じになってしまっていたので、私はどうしてよいかわからずにオロオロした。結局、私は何分かおきに立ったり座ったりして、探り探り監督を続けたが・・・他のメンバーは、最後まで立ち上がることはなかった。

 これ、よく考えると、まぁまぁ怖い話である。私はその場で立ったり座ったりするのみで、他のメンバーはずっとすわったままだったから・・・もしかしたら、何かしらの不正を見落としているかもしれない。また、いま教員をしているからわかるが・・・ひどく恥ずかしがりやの生徒は、消しゴムなどを落としても、監督に挙手してアピールできないことがあるのだ。そういう生徒は、監督が自分の近くにやってくるまで、黙って待っている。もしかしたら、あのセンター試験の会場でも、似たようなことがあったのではないだろうか。

「消しゴム、落としちゃった・・・どうしよう・・・監督の人たち、みんなイスに座って遠い目をしながら、微動だにしないし・・・どうしよう・・・」

 会場には百数十人の受験生がいたから、中には、そんなふうに思っていた受験生もいたかもしれない。

 今日は、大学入学共通テストの実施日。受験生だけではなく、監督のみなさんにも最善を尽くしていただきたいものである。

                        < 完 >

↓ ↓ ↓ kindle unlimitedをご利用の方、よろしければどうぞ!

超個人的 世界史雑談集: ある意味で珍しい話、集めました